NFT技術の自治体での活用事例と解決できる課題をご紹介
本記事では、自治体でNFT活用が増えている背景や実際の活用例、解決できる課題をご紹介します。
自治体でNFT活用が増えている背景とは
そもそもNFTとは
NFT(Non-Fungible Token)とは、主にイーサリアム(Ethereum)やポリゴン(Polygon)といったブロックチェーン上で構築される代替不可能なトークンのことです。ブロックチェーン技術を用いることで、所有者の記録を改ざんできない点や、唯一無二の価値があり、他のトークンで代替不可能点が特徴です。
これらの特徴があることで、デジタル資産の所有権や真贋の証明が可能となります。NFTはデジタルアート、音楽、ゲームアイテムなどの所有権の証明によく使われますが、近年は自治体でも活用する事例が増えています。
NFTは日本政府の成長戦略の一つ
NFTの自治体での活用が増えている背景として、政府の成長戦略のひとつに位置づけられており、地域外からの注目を集めやすいことやデジタルアーカイブとして活用できることが挙げられます。
・地域外からの注目を集めやすい
NFTは「デジタルで唯一無二の価値」を保証する技術であり、デジタル上の資産に対して「オリジナル性」や「希少性」を付与します。これにより、コレクター心理や所有意識を刺激し、関心を集めやすいコンテンツとなります。NFTはデジタル上での所有権をやり取りできる技術であり、直接訪問したり、直接物をやり取りしたりせずにデジタル上で取引が完結するため、日本全国はもちろん、世界に向けても施策を打ちやすいことが利点です。
・日本政府の成長戦略の一つ
日本政府の「骨太の方針2022」や「地方創生2.0」においても、NFTを活用した地域の魅力発信や、アナログ価値の世界価格への引き上げが打ち出されています。NFT証明をつけて唯一性を作り出すことで付加価値を高める施策は政府も推奨しており、取り組みの意義があります。
・デジタルアーカイブとして活用ができる
NFTは地域の歴史的文化財やアート作品のデジタルアーカイブ化にも適しています。加えて、所有証明を付加することで、「デジタルでの歴史・文化の継承」をより魅力的に行うことが可能です。
従来のデジタルアーカイブは閲覧にとどまり、所有意識や参加意識が薄れやすい難点がありましたが、NFTは「自分が一部を所有している」という特別な体験を提供します。そのため、地域文化や伝統に対して興味を持ちやすくなります。
NFTの活用例と解決できる課題とは
以下では、全国の自治体におけるNFTの活用例や解決できる課題について解説します。
訪問者の囲い込み(NFT無償配布・スタンプラリーによる囲い込み)
NFTは特別なアプリをインストールせずとも、二次元コードを読み込むことで配布できます。メルマガ登録やアプリダウンロードを求めてもなかなかダウンロードされませんが、価値を持つデジタル資産であるNFTを配布すると、無料でQUOカードを配るときのように高い反応が得られます。
例えば観光地で配布する場合、二次元コードを設置するだけで簡単に施策を実施でき、人員を配置する必要がありません。一度NFTを受け取ってもらえれば、メッセージが送れるので訪問者の囲い込みが可能です。
SNS施策の強化(SNSキャンペーンの景品にすることでSNSフォロワーを拡大)
SNSを活用しているものの、なかなかフォロワーが増えない自治体も少なくありません。フォロワーを増やすためにプレゼントキャンペーンなどを行う場合、応募者の住所を聞いて商品を発送する必要があるため、個人情報管理を含め大きな負担が発生してしまいます。
一方で、デジタル資産であるNFTのプレゼント施策であれば、デジタル上で容易に完結でき、しかも他の景品よりも反応がよい利点があります。
ふるさと納税の拡大(ふるさと納税返礼品として活用し、観光誘致を行う)
ふるさと納税の返礼品としてNFTを採用するケースも増えています。
デジタルアートそのものを返礼品として提供する自治体もありますが、NFT購入者のみに特産品の獲得権や購入権を付与したり、観光誘致と組み合わせたりすることで地域への訪問を促すインセンティブを設けることも可能です。
何より、購入することでNFTが代替不可能なデジタルデータとして手元に残り続けるので、所有を通じて特定の地域との関わりを強く意識させる効果が期待できます。
付加価値の向上(NFT証明をつけて唯一性をもたせ、付加価値を向上)
御朱印のようなこれまで無数にコピーが可能だったものをNFTによってナンバリングし、唯一性を持たることで資産価値を高めることができます。
NFTは複製やコピーができない技術であるため、複製可能な紙の御朱印などにNFT証明をつけることで本物であることを証明できます。さらに、数量を限定して付加価値を高めることにより、通常の販売価格の数十倍もの価格にまで価値を引き上げることができます。
例えば、福岡県の鳥飼八幡宮が発行したNFTの御朱印は、通常の御朱印の20倍の価格での販売を実現しました。こちらのNFTの御朱印は大相撲九州場所でインバウンド向けの消費拡大の事業の一環として、外国人観光客に向けて販売を行いました。
この事例は「地方創生2.0」における「ブロックチェーン技術、NFTを活用し、食や観光体験等地域の持つ多様なアナログの価値を世界価格に引き上げる」という政策方針に基づいたNFT施策の成功事例となりました。
関係人口の拡大(デジタル住民票NFTによる関係人口の拡大)
自治体のデジタル住民であることを公言できる会員権型のNFTを販売したり、無償配布したりすることで関係人口の増加につなげることができます。NFTに訪問時の特典をつけることで、訪問を促す効果が期待できます。
また、NFT保有者同士がコミュニケーションを取れる「デジタル住民コミュニティ」で継続的なつながりを作り、自治体を応援してくれる関係人口の増加を促すことも可能です。
山形県西川町はデジタル住民票としてNFTを発行したところ、人口4,732人に対し、13,440個の購入需要があり、話題を集めることに成功しました。
販売チャネルの拡大(地方の特産品やサービスの新たな販売手法)
偽造をさせずに所有権移転ができるNFTの技術を使い、特産品やサービスの利用権、会員権をデジタル上で簡単かつ安全に移転できます。
これはチケットNFTという新しい販売手法であり、特別なシステムを構築する必要なく、安価に利用チケットや会員権をNFTとしてデジタル販売することが可能です。これにより、地元のさまざまな特産品や地方のサービスなど、これまで現地に訪問しなければ販売できなかったものをデジタル上で先んじて販売でき、簡単に流通させることができます。
例えば大阪府羽曳野市では、デジタル住民票を購入した人の特典として、NFT化した焼き肉店舗での割引券を提供しました。1人1,000円で購入できるデジタル住民票を購入することで、羽曳野市内の焼き肉店の無料特典や割引が受けられる仕組みです。
特産品やサービスを販売する上で割引券単体ではといった話題性を高めることが難しいですが、NFT化することで注目を集めることができるようになりました。
財源の確保(命名権をNFT化して財源確保と話題性を向上)
命名権などの権利をNFT化してオークションで売り出すという事例もあります。
通常の官公庁オークションでは値段がつかない、落札されない命名権のような権利も、NFT化することで販売につなげることができます。
例えば、山形県西川町では誰も知らないような公園に130万円の価値がつきました。単に広報を使って公募するのではなく、命名権をNFT化することによって話題性を高めることができます。
西川町では公園以外にも、カヌーセンターの命名権をNFT化してオークション販売を実施しました。
命名権 NFT オークションには合計で 21 件の入札があり、最終的に 150万円の入札でオークションが終了しました。
このように、命名権をNFTという形で売り出すことによって話題性を高め、財源を確保することに成功しています。
導入に向けて何から進めるべきか
NFT技術には多くの活用方法がありますが、導入に向けて何から進めればよいのでしょうか。
以下では自治体が導入に向けて取り組むべきことをご紹介します。
NFT活用目的の明確化
最初に、NFT導入の目的を明確にする必要があります。
自治体の場合、観光資源の付加価値向上、認知拡大、関係人口の拡大、観光資源の活性化、文化財保護、アートや特産品のデジタル化、地域コミュニティの活性化などさまざまな目的が考えられますが、地域の課題や特性を考慮して導入のゴールを明確にすることが重要です。目的が具体的であるほど、関係者の賛同や予算獲得がしやすくなります。
パートナー企業の選定
導入にあたっては、NFTに精通した企業のサポートを受けることが重要です。信頼性やセキュリティ、費用対効果などを踏まえ、信頼できるパートナーを選定するとよいでしょう。
また、方針や目的が十分に整理されていない状態で直接制作会社に依頼すると、目的からずれたものとなってしまう可能性があります。そのため、制作だけでなく、目的や方針の整理から行ってくれる企業に相談することがポイントとなります。
自治体のNFT導入は東武トップツアーズにお任せください
東武トップツアーズでは、自治体でのNFTの導入をサポートしています。
自治体の抱えている課題や目的に合わせて、的確な方針や最適な施策・サービスのご提案を行っているため、自治体にリソースやノウハウが不足している場合でも安心してお任せいただけます。
NFTをはじめ、観光向け・市民向け・業務効率化など、自治体の抱える課題に合わせて最適な解決策とサービスをご提案することが可能です。
以下の資料では、DXを実現するための3つのポイントをまとめています。
DX推進をご検討中の自治体ご担当者様は、ぜひ資料をダウンロード下さい。