観光DXの事例を紹介 
推進する上での課題も解説

2024.12.13
観光DXの事例を紹介 推進する上での課題も解説
日本の観光市場が急速に伸びている中、デジタル技術の進展や消費者行動の変化などを背景に「観光DX」が注目を集めています。観光DXを効果的に進めることで多くのメリットを得られ、観光を通じた地域活性化につなげることができます。
しかし、観光DXとは具体的にどのようなものであり、具体的にどんな取組があるのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、観光DXのメリットや実際の事例、推進する上での課題とその解決策を解説します。

観光DXとは

「観光DX」とは、デジタル技術を活用することで観光産業の変革を実現する取組のことです。
観光庁が推進しており、「業務のデジタル化により効率化を図るだけではなく、デジタル化によって収集されるデータの分析・利活用により、ビジネス戦略の再検討や、新たなビジネスモデルの創出といった変革を行うもの」※と位置づけられています。

※観光庁「観光DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」

観光DXでは、旅行者の利便性向上・周遊促進や観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化、そして観光デジタル人材の育成・活用を中心に取組が進められています。

観光DXが推進されている背景

観光DXが推進されている背景としては、以下の4つの要素があります。

消費者行動の変化

かつては旅行情報誌で観光地の情報を集め、旅行の手配は旅行代理店に出向いて行うことが一般的でしたが、現在では多くの人がインターネットやSNSを通じて旅行の情報を収集するようになり、ホテルや交通機関の予約もオンライン上で完結できるようになりました。
また、旅行中に観光名所や観光地の飲食店の様子をSNSにアップしたり、旅行先の情報を収集したりするなど、デジタルを活用した旅行体験が普及しています。

このように、観光客は旅行先に関する情報を簡単に集め、発信できるようになったため、自分の好みや興味関心に合った観光スポットを目指すようになりました。そのため、観光産業はより個別化さらには多様化した消費者の需要に応える必要に迫られています。

プロモーションや魅力発信効果の高まり

インターネットが多くの人にとって身近なものとなったことから、SNSやWebサイトで魅力を伝え、プロモーションを行う重要性が非常に高まっています。こうした現状を踏まえ、デジタル技術を活用した効果的な発信活動を行うことで、観光客が訪れるきっかけを作ることができます。

外国人観光客の増加に伴い、全世界に向けたプロモーションの必要性も高まっています。DX化により、異なる産業部門間での情報共有や連携がスムーズに行えるようになっていることも、魅力発信効果が高まっている要因の1つです。

テクノロジーの進化

近年、AI、IoT、ブロックチェーンなどの技術が急速に進化しており、生活やビジネスのさまざまな場面で利用されています。こうした先進的な技術を観光業界に導入することで、効率的なサービスを提供することが可能です。

例えば、AIを活用したチャットボットによるカスタマーサポートや、IoTデバイスによるリアルタイムの情報提供は、観光客の利便性向上に役立ちます。

持続可能性や環境への配慮

環境問題への関心の高まりを受けて、昨今は持続可能な観光へのニーズが増加しています。そうした中で、エコツーリズムや地域の歴史・文化を尊重した観光プランの提案が注目されており、観光業界全体の持続可能性を高めることに貢献しています。

これにより、観光客は旅行中に環境に配慮した選択ができるようになり、地域の活性化や自然環境・景観の保護などにつなげることが可能です。

観光DXのメリット

観光DXを推進することで、以下のようなメリットが期待できます。

利便性の向上

観光DXは旅行者の利便性を大幅に向上させます。例えば、オンライン予約システムの導入により、顧客はいつでも宿泊先の検索や予約ができるほか、キャッシュレス決済の普及により、余分な現金を持ち歩く必要がなくなり、スムーズな決済が可能になります。

さらに、AIを活用したチャットボットの導入により、24時間365日、多言語で観光情報や宿泊施設に関する問い合わせに対応できるようになることも利点です。

こうした技術の活用によって、旅行者は自分の興味関心や予算、スケジュール等に最適なプランを選ぶことができ、観光体験の質が向上します。

マーケティング効果の最大化

観光DXの活用は、マーケティング効果の最大化に貢献します。
例えばデータ分析やAIを活用して、観光客の嗜好や行動パターンを正確に把握することで、ターゲットを絞ったマーケティングが可能になります。

データに基づいて広告を効率的に配信することで広告費の削減ができるほか、口コミやレビューをサービス改善に活用することも可能です。このように効果的な集客戦略を立てることで、収益の最大化に結びつけることができます。

新しい顧客体験の提供

オンラインツアーやAIの活用により、各旅行者にカスタマイズされた観光体験を提供できます。例えばVRを活用したバーチャルツアー体験の導入により、実際に現地を訪れなくても観光地の魅力を体感できるようになります。

GPSと連携した観光マップを活用することで、旅行者は効率的に観光地を巡ることができ、思いがけない発見をする機会が増えることも期待されています。

人材の有効活用

観光業界におけるDX推進は、業務プロセスの自動化により効率化を促進し、従業員が専門的な業務に集中できる環境を作り出します。これにより、人的リソースを効果的に配分し、付加価値の高い業務への注力が可能となります。

DXの活用は、限られた人材を最大限に活用するための重要な手段であり、観光業界の競争力を高める大きな要因となります

効率化やミスの削減

観光DXの推進により業務のデジタル化が進むことで、人的ミスやトラブルの発生リスクを抑制することも可能です。

例えば、予約管理システムを導入することにより、手作業での予約管理に比べてミスが大幅に減少し、業務効率が向上します。デジタルチケットの導入も顧客管理の改善に役立ちます。

観光DXの事例

観光DXは多くの自治体にとって効果的な施策となる可能性を秘めており、実際に取組を進めている自治体も少なくありません。
以下では、魅力的な観光DXの取組事例をご紹介します。

山口県美祢市|生成AIを活用した観光案内で案内の利便性を向上

山口県美祢市は、観光地、特産品、宿などに関する情報を学習した生成AI「ミネドン」をリリースしました。
スマートフォンで利用可能な「ミネドン」は、観光に関する情報を提供し、文字だけでなく、音声でもコミュニケーションが可能です。観光地の情報を尋ねたり、おすすめの観光スポットやグルメ情報を聞いたりすることができます。

山形県西川町|2Dメタバースで地域交流の新たな形を提供

山形県西川町は、新たな地域交流の形として、2次元のゲーム空間を再現した2Dメタバースを公開しています。

このメタバースでは、山形県道の駅、月山湖、志津温泉に加えて、新たに命名権が販売された公園も再現され、地元の住民との交流が可能です。
メタバースを通して、実際にその地域を訪れることがなくても交流の機会を設けることができるようになっています。

山形県西川町|NFTによる命名権を販売することで話題性の向上

同じく山形県西川町は、新設されるカヌーセンターの命名権をNFT化してオークション販売を実施しました。
今回のカヌーセンターの命名権 NFT オークションには、合計で 21 件の入札があり、最終的に 1,500,000 円の入札でオークションが終了しました。

観光DXは実際に旅行に訪れた人に向けて行うもの以外に、町の話題性を高めるために近年トレンドとなっているデジタルコンテンツを活用する方法もあり、山形県西川町はその手法を活用して、さまざまな話題性のある施策を実施しています。

観光DXを推進する上での課題と解決法とは

観光DXを推進する際には、さまざまな課題に直面する場面も少なくありません。
以下では、観光DXにおける課題とその解決方法をご紹介します。

離職率の高さや経営状況の低迷などから、優先度が下がっている

観光業界は離職率が高く、経営状況が低迷している事業者が少なくないため、DX推進へのリソース配分が難しいケースが多々あります。
特に、人材不足がDX導入を進める上での妨げとなり、現場の業務効率を優先するためにデジタル化への投資が後回しにされることがよくある課題です。

<解決法>
組織内でのDX推進が難しい場合は、外部のDX専門企業やコンサルタントにDX推進の相談をすることが有効です。
その際には、ツールやソリューションのベンダーではなく、状況把握や方針策定から行ってくれる支援会社であるとより望ましいでしょう。

DX推進に向けた知見がない

資金や人材面の制約からDXに取り組むリソースが限られていることに加えて、従来からの対面・直接的な接客や観光体験を重視してきた文化が強く根付いている地域も多くあります。

そのため、デジタル技術の活用やデジタルデータの管理方法に関する知見が不足しており、「観光DXをどのように進めればよいかわからない」といった悩みを抱えていることも珍しくありません。

<解決法>
DXを推進するために、観光事業者がIT企業やDX支援の専門企業と連携し、知見やノウハウを得ながら施策を進めることが有効です。
例えば、観光アプリの開発、クラウドシステムの導入、SNSマーケティングの支援をするパートナーと協力することで効率的にDXを実現することができます。

自治体DXに関するご相談は東武トップツアーズへ

東武トップツアーズでは、観光DX推進をサポートしています。自治体の抱えている課題に合わせた方針や最適な施策やサービスのご提案を行っているため、自治体にリソースやノウハウが不足している場合でも安心してお任せいただけます。

前述したNFTなどの最新技術を活用したサービスをはじめ、観光向け・市民向け・業務効率化など自治体の抱える課題に合わせた最適な解決策とサービスをご提案することが可能です。

以下の資料では、観光DXを実現するための3つのポイントをまとめていますので、DX推進をご検討中の自治体ご担当者様はぜひダウンロードして下さい。

お役立ち資料

自治体DXを成功させるポイントとは? 自治体DX 推進ガイドブック
本資料では、自治体DXが求められる背景とよくある失敗、そしてDX実現のための流れと成功のポイントを解説します。
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